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2006.07.15

[テレビCM崩壊]ドン・シュルツによる推薦文

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 先週の監修者による序文を読んだ方から、「ドン・シュルツがこの本を自分が書いていればと言っているのですか」というメールがあったので、今日はこの本の推薦文であるドン・シュルツによる紹介文を長いですが全文お届けしたいと思います。ご存知のように彼は『ドン・シュルツの統合マーケティング』の著者であり、統合マーケティングの権威でありノースウエスタン大学の名誉教授です。
  今日取り上げた、マス文化の終わりにも関係するような考え方が述べられています。

推薦の言葉
ドン・E・シュルツによる紹介文



 私と彼は、全くもって正反対の2人である。彼は国際人なのに、私はオクラホマ人。彼はずっと制作畑を歩んできたが、私はスーツを着て、広告のビジネス的な側面を相手にしてきた。彼が新しいテクノロジーを大いに楽しみつつ受け入れるのに対し、私はこの文章をMS Word 95で書いている。彼はコネチカット州に住み、私はシカゴに住んでいる。
 しかし私はここで、彼、Joseph Jaffe氏を紹介したい。大学教授の役割は、新しい知識は古い知識よりいいとか、しきたりは改革されなければならないとか伝えることだからだ。特に私の役割は、これらを「科学的な手法」という名の嫌われ役として提示することだ。
 この紹介文を書いている理由は、Joseph Jaffe氏がコラムや講演で言ってきたことを、本当の意味で私も信じているからだ。どこのステージに立っても彼は、同じことを言い続けることだろう。そして、彼の意見は正しい。
 この紹介文を書いている本当の理由は、本書を書いたのが私だったら良かったのに、と願ってやまないからだ(正直に告白しよう)。自分で書くことの次の選択肢として、紹介文を書くことにしたわけだ。少しは、賞賛を分けてもらえるだろうか。
 Joseph Jaffe氏が、彼の初の著書の紹介文を私に頼んだ理由は簡単だ。2人とも根本のところで同意見だからだ。
 「60年間にわたり、我々がよく知り、実践し、崇拝さえしていたメディアを使った広告は、危機的状態にある。それも大きな危機だ。そしてこの状態はよくなることはない。永遠に」

危機的変化の証拠
 私が大学で調査を進めているところでも、次のようなことから、従来型の広告の効果が落ちていることが示されている。

・視聴者によるメディアの「ながら接触」
・様々な媒体での露出によるシナジー効果
・消費者のデモグラフィックデータは、運転免許書の発行時と年金の開始年齢以外には役に立たない
・メディア最適化モデルの重要性

 これらはすべて、揺るぎない変化を示す証拠だ。古い考え方はすでに終わっていて、新しい考え方はすでに始まっている。
 もっと顕著なのは、我々、広告業界人が傲慢に「ターゲット層」とか「消費者」と呼ぶ人たちの大きな変化だ。我々マーケターが、重要だとか、面白いとか、気が利いているとか革新的だ、と勝手に思っているものに反応するはずの、名前も顔もない人たちである。
 大学にいる私は、マーケターよりも早く将来のトレンドに気づくことがある。講義室に来る学生たちの変化を目の当たりにしているからだ。2001年と2004年の卒業生の間には、似通ったところがほとんどない。私は、トレンド調査員が何ヶ月、何年もかけて見つけることを毎日目にしているのだ。
 10代後半や20代前半の世代は我々とは似ても似つかない。「消費者」とか「顧客」とか「カテゴリー」などという言葉を偉そうに話す世代の常識が通用しないのだ。新世代の若者たちは、今まで18-34歳、25-49歳とかいうふうに簡単にまとめられた世代とは全く違う。彼らは親の世代とも全く違うし、その上の世代などとは比べることすらできない。上の世代はテレビCMと共に育ち、我々が影響を与えることができた世代だ。そして、さらに問題なことに、その「上の世代」までもが変化しつつある。広告主がいくら昔のやり方で扱おうとしても、である。
 Josephが本書で証明している大きな変化は、「変化する消費者」が「新しいコンセプト、アプローチ、技術、手法」を生み出す原動力となっているということだ。新しい消費者は、テレビCMに全く興味がないのだ。
 しかし、消費者は変わったのに広告は変わっていない。少なくとも、テレビCMは変わっていない。テレビCMには、「始めがあり、真ん中があり、終わりがある」という「型」がある。この「型」は、過ぎてしまった時代のためのものであり、型にはめられるのを好まない消費者に拒絶されているのだ。この問題を、Josephは本書の第一部で提示する。

しがらみの破壊
 広告業界の人間は、いまだテレビCMに執着している。クリエイティビティを生業としている業界なのに、彼らは会計士よりも変化に関して消極的なのだ。新しいコンセプト、新しいアイデア、新しいこれ……と、いつも新しさについて説いているのに、自分たちが慣れ親しんでいて、山ほどのお金を稼いだテレビCMについては、手放すことを嫌がっているのだ。
 「蔓延」、この言葉すら、広告業界でいかにテレビCMが支配的かを表現するには、十分とはいえないだろう。広告がやっていることのすべてが、テレビCMの長さである30秒を基準としている。消費者調査やフォーカスグループもテレビCMを制作するために行われる。メディアの仕組みもテレビCMの長さを中心に組まれている。測定システムも、映画や音楽、ダンス、グラフィックス、文章、写真などもテレビCMに換算して測定する。広告の世界はテレビCMの周りを回っている、と言ってもいいぐらいだ。業界に蔓延している標準的な考え方だと言えるだろう。広告業界の人間に「30秒以外の時間単位で何か考えられるか?」と聞いてみるといい。きっと彼らは、夜中に車のヘッドライトを当てられた鹿のように固まってしまうに違いない。
 しかし、ここにJoseph Jaffeという生意気な小僧が登場した。彼は、テレビCMがこれから崩壊すると言うだけでは気が済まず、「すでに崩壊している」と騒ぎ始めた。もちろん、数多くの人がテレビCMを生活の糧にしているのだから、このようなニュースは決して好ましいものではない。

独占の終焉と本書の独自性
  巨大メディア会社、巨大広告会社、巨大な広告主、そして巨大な(ビッグな)アイデアが前世紀の後半を通じて行ってきたようなマーケティング・コミュニケーションにおける独占は、これ以上は続かないだろう。もちろん、「警鐘をならす」「業界のリーダーへの変化の挑戦」「新しいコンセプトとアプローチが必要」と言って問題を指摘するだけの本に新しさはない。
  しかしJosephのこの本には、いくつかの解決策と、メディア、広告、SP、PR、ダイレクトマーケティングを含む今までのマーケティング・コミュニケーションをどのように取り扱うべきかについての適切な方法とが提示されている。それも、明日の話ではなく、今現在の話で。そこが本書が他に類を見ないものになっている理由である。
 問題についての解説は短く、解決策とどのように4つのマーケティングの基本要素(消費者、ブランド、広告、広告代理店)を再検討するかを理解するために多くのページが割かれている。これらは、将来の成功への本当の鍵になるものである。「テレビCM崩壊」は、将来の夢物語ではなく、現在のロードマップの形をとっているのだ。

変化を受け入れよう
  常用車の便利さを諦めることができないように、TiVoに代表されるHDD型ビデオレコーダーを諦めることはできない。マーケティング・コミュニケーションはすでに変わってしまったのだ。そして、この先も変わっていくだろう。ここで真に問わなければならないことは「広告は変わるのか?」ではなく、「広告人は変われるのか?」である。もちろん、一部の広告人は変わり、一部は変わらない。一部は、手かせをはめれ、引きずられるようにして新しい広告の世界に入って行くのかもしれない。
  ここから先の内容を楽しいと思えない人も多いだろう。彼らは、騒ぎ立て、ブログに書き、本書の内容を批判するだろう。彼らは、それがもたらす彼らの未来への影響を好まないのだ。
  しかし本書は、未来のためではなく、むしろ現在のためのロードマップである。アイデア、リスト、事例、意見、事実などがたくさん詰まっている。ここで最も重要なのは、これらのすべてが真実だということ。広告ビジネスの真実だ。
  もしも本書に含まれていないものがあるとすれば、おそらく、切り取って忘れないために机に貼れるようなまとめページだろう。広告人に、すでに世の中が変わったということを忘れさせないためのページだ。
  どれぐらい時間をかければ広告は変われるのか? そもそも、本当に広告は変われるのか?
  Josephと私は、テレビCMの崩壊後にも広告に生きる場所はあると信じている。ページをめくるとそれがわかるだろう。


  ノースウェスタン大学
   統合マーケティング・コミュニケーション学部 名誉教授
      『ドン・シュルツの統合マーケティング』の著者
                  ドン・E・シュルツ

 

予約サイトは次のようなところです

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Amazon
楽天ブックス
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ブックモールPC

July 15, 2006 in Announcement | Permalink

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こんにちは。X3です。 月9サプリの裏メッセージ「15秒のCMのチカラを見直そう [Read More]

Tracked on Jul 17, 2006 6:28:04 AM

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