« DoveのReal Beautyはリアルじゃない? | Main | Merrill Lynchアナリスト:TVスポットののUpfrontは2-14%減 »

2008.05.08

[今日の解説]DoveのReal Beautyはリアルじゃない?

 「ブランドとは消費者に対する約束。ソーシャルメディアが普及した今、その意味合いはますます重要になっている」
 先日のSFで行われたad:techの「The Art of Conversation」というセッションで、僕の「ソーシャルメディア時代のブランド、ブランディングとは」という質問に対して、Nelsen OnlineのDigital Strategic Services担当上級副社長Pete Blackshaw氏は上記のように答えた。
 DoveのReal Beautyキャンペーンはソーシャルメディア時代のブランディングキャンペーンの大成功例として取り上げられることが多いキャンペーンの一つだ。Ogilvyの「約束としてのブランド」を作りだすフォーミュラは、簡単でありながら素晴らしく、僕もブランディングに関する講演などで使わせてもらうことが多い。もちろん、フォーミュラよりも、消費者インサイトの分析や実際にブランドに落とし込む時のブレインストーミングの方が重要であるが、Doveというブランドを社会的ムーブメントにした背景には、このフォーミュラにある、物事のとらえ方の視点が何より重要だと思う。
 そのように作られた「約束としてのブランド」は熱狂的な支持者と、その約束に反する行動が見えた時の炎上問題との、微妙なバランスの上に立つもので、かなり高い行動規範をブランド企業に要求する。Doveブランドを持つUnileverは、Doveで「どの女性にも美があり価値がある」ということを訴えていながら、同社の男性用デオドラントAxeでは「女性を性の対象のみとして安っぽく見ている」という批判も出ているし、今回のレタッチの件も、現実にはレタッチが行われたのかはまだ明確ではないが、ファッション写真撮影では一般的に写真家サイドでほぼ自動的に行われていることを、Doveの撮影だけ変えるように指示を特別に出さなければならないという細かい管理が必要になるということだろう。
 商品はもちろんのこと、カスタマーサポートが約束としてのブランドを現実に体感するところだったり、店頭が商品を最初に手にするところだったり、ブランドの約束と、ブランド体験を統一することが全方向で求められている。真のブランドマネージャーはCEOか社長ということになるのだろうが、そのような資質を持った人がなることが少なく、代理のブランドマネージャーとしてのCMOの役割が重要ということだろう。
 今回のDoveのケースが今後どのように進んでいくのかは見守るしかないが、少なくとも熱狂的な支持者が多い同ブランドは、約束をある程度守り続ける限り、多少の欠点は許してもらえるし、場合によっては代わりに支持者が戦ってくれる。炎上問題のリスクを取る価値がそこにあると言える。

DoveのReal Beautyはリアルじゃない?

May 8, 2008 in Analysis | Permalink

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://www.typepad.com/t/trackback/36066/28904536

Listed below are links to weblogs that reference [今日の解説]DoveのReal Beautyはリアルじゃない?:

Comments

Post a comment