« 6メートルのナイフ | Main | [国内]インフルエンサーマーケティングのブルーカレント・ジャパンスタート »

2006.07.19

[テレビCM崩壊] 著者による日本語版への序文

cm_cover s.jpg 

今日は著者の日本語版への序文を全文掲載します。日本の方々へというメッセージの形になっています。

日本の方々へ
著者による日本語版への序文

 私の初の著書が日本語に翻訳されることになり、大変うれしく思っている。また、日本の読者の皆さんとも「オープンな対話」を始められればと考えている。もちろん、すでに私のブログ(www.jaffejuice.com)を読み、私のPodcast「Across theSound」(www.acrossthesound.net)を聞いている人とは、今までの対話をさらに続けていくということになるのだろうが。
 実は、これがポイントなのだ。
 変化しないものなど、何ひとつない。時間の経過とともに直線的に進むものも、予想可能なものも存在しない。
 この本も同じだ。ブログやPodcastのような、著者と読者との対話を可能にする場所がなければ、本書は、大きな変化の渦がうねる大海に浮かぶ小島でしかありえない。本書の10章は、ブログやPodcastで成り立っている。私が知る限り、普通の本の形をとりながらも、途中で読者の期待や慣れを途絶えさせる本は世界初だ。

 話を続ける前にまず、本書を日本の読者に届けることを薦めてくれた織田浩一氏に感謝したい。私のブログに早くから親しみ、私の発信する情報の価値を感じてくれたのだと思う。

 ここでは、日本の読者の方々に2つのことをお伝えしたい。
 ひとつは、すでに死んでしまったテレビCMの替わりに、大胆なニューマーケティングの手法を使おうという本書のメッセージについての、その後の報告を行うこと。
 もうひとつは、テレビCMの崩壊が、アメリカに固有の問題かどうかの問いに答えることである。

 原著で紹介したアイデアや予想、提案の一部はすでに実現されたか、あるいは、徐々に姿を現し始めている。例えばオンデマンド広告(AOD)は、HDD型ビデオレコーダーTiVoが始めた「Product Watch」というサービスで実現した。
 また、原著の中で言ったことは何ひとつ異議を唱えられたことはなく、何ひとつ時代遅れになっていない。
 一方、原著に含めなかったことはどうだろうか。愕然としていることのひとつが、ブログやPodcastの話だ。自分でもブログやPodcastを毎日のようにやりながら、本書に含めなかったことには悔いが残る。アメリカの広告業界では、ブログやPodcastは、ゆっくりと慎重に動いているが、それでも以前に比べるとかなりの進捗を示している。
 今まで自動的に価格が上がってきた感のあるテレビCMについても、今年は明らかな変化が見られる。今はちょうど、TV局と広告会社、広告主がテレビスポットCMの年間予約の交渉を行うUpfrontが行われている最中だが、Johnson & JohnsonやCoca Colaは様子見だ。P&Gは、昨年の予算から少なくとも10%を削った。世界トップの広告主たちが、テレビCMに替わる効率的な方法を選び始めているのだ。
 つまり我々は、テレビCMがピークを超えたことを目にしつつあるといえる。この変化に対処するために、アメリカのテレビ局は見当違いな方向に進みつつある。大騒ぎしながら、テレビ番組のダウンロードを説いて回っているのだ。しかしこれには2つの問題がある。番組のダウンロードにはビジネスモデルが伴っていないし、ダウンロードをプロモーションすることは、テレビ本来のビジネスを無視することにもなる。結果的にはどこかに落ち着くのだろうが、業界の混乱はしばらく続くだろう。
 日本は、アメリカと同様、HDD型ビデオレコーダーの普及が世界でも非常に高い国だ。もし、視聴者が自分のテレビ視聴を自由にコントロールできる消費者(意味のない、ありふれたCMなどすぐにスキップする)の大きな行動変化をまだ目にしていなくても、それはすぐに始まるはずだ。バーチャルな分身が、本物の金銭を交換する実体経済を動かしているSecond Lifeの様子を観察して欲しい。あるいは、ブログやPodcast、Wikiなどを通して、ソーシャルメディアがどのようなものかを知ることも必要だろう。もちろん、携帯の世界ではアメリカに住む我々が学ぶ側だろうが、コンテンツとコマースとクリエイティビティが集まった、モバイル・マルチメディアの世界にも大きな可能性が感じられる。

 ここで重要なのは「いつ」始めるかだ。自分には「いつまで」時間があるのか(座って待っていていいのか)。あるいは「いま」行動を起こすべきなのか(果たして時間は残されているのか)、自分に聞いてみるとよい。そして、できることなら、後者を選んで欲しい(本書を読めば、そうせざるを得なくなるかもしれない)。
 我々の目の前で起こっているのは、マーケティングにおける今までにない民主化の過程である。売り手と買い手、生産者と消費者、情報発信者と受信者がすべて平等になりつつある。そして、グローバルな対話の障害は、我々の想像力だけなのだ。

 本書は広告・マーケティング業界の未来への切符である。
 しっかりつかまって、素晴らしい旅を楽しんでもらいたい。

            2006年6月
                          Joseph Jaffe

予約サイトは次のようなところです

SEShop.com 
Amazon
楽天ブックス
HMV
ブックモールPC

July 19, 2006 in Announcement | Permalink

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://www.typepad.com/services/trackback/6a00d8341bfeba53ef00d83427d60853ef

Listed below are links to weblogs that reference [テレビCM崩壊] 著者による日本語版への序文:

» Life After The Traditional Agency from katsuno
Ad Innovatorの織田さんが監修された「TVCMの崩壊」が順調な売れ行き... [Read More]

Tracked on Jul 30, 2006 8:06:01 AM

Comments

Post a comment